オリンパスの小泉です。弊社と OpenChain との関わりについて書いていきます。 OpenChain Japan Work Group ではライセンス情報(6日参照)、教育(7日参照)、Plannning(9日参照)(、Promotionはメンバー扱いになっている?なってない?)の各サブグループで活動しています。
おことわり
内容は全然技術っぽくありません。が、技術者にとってもOSSライセンスのコンプライアンスは大事だよ、ということで消されないことを祈っています。
会社紹介
皆さんがオリンパスと聞いてまず思い浮かぶものは何でしょう。
カメラでしょうか。確かに弊社のPenを持ち歩いている女性をよく見かけるような気がします。
ICレコーダーでしょうか。よく記者が政治家に一斉に向けていたりするあれです。実は弊社は、このアドベントカレンダーにも書いている(であろう)他社さんを押さえてシェアNo1だったりします。
流石にそういう人はいないと思いますが、「最新科学で名画の秘密に迫る」とかいう場合にも実は弊社の製品が使われていたりします。蛍光X線分析装置ですね。
が、おそらく皆さんが一番目にしているのは、内視鏡(「胃カメラ」と言われることも)でしょう。(胃カメラだから「口にしている」と言うべきでしょうか。でも大腸内視鏡というのもありますよ!)世界シェアの約7割を占めています。
以上のように、一言でくくるのは難しいものを作っている会社です。
第三者認証を取得されている日立製作所さんの直後に書くのは、なんだか少しはずかしいのですが(と思ったら、直前は日立製作所さんではなくなっているようですね。順番の入れ替えがあった模様です。)、オリンパスは OpenChain の認証は(今のところ)まったく取っていません。
自己紹介
オリンパスグループ全体のOSSに関する事項全般を取り扱っています。ベンチャー企業で10年近くフィーチャーフォン向けの組込みソフトウェアの開発に携わった後、2010年12月より(実質的に)現職です。
好きなライセンスはPostgreSQLのライセンスです。なぜなら、日本語参考訳を大きく見直したのが私ですから。
OSSライセンスコンプライアンスの取り組み
10年近く前、オリンパスグループ内でOSSライセンス違反に繋がりかねないヒヤリ・ハットが発生しました。具体的には、ソフトウェアベンダーがオリンパスに納入してきたソフトウェアにOSSが含まれていることに、そのソフトウェアを組み込んだ製品の出荷直前になって気付いた、というものです。それをきっかけに、
– (意図的な)OSS利用時の確実なライセンス対応
– 意図しないOSSの混入防止
をオリンパスグループとして徹底する仕組みを構築することになりました。
会社で仕組みと言えば、以下の3つがいわゆる「3種の神器」ではないかと思います。
– 体制
– プロセス
– ツールや教育
弊社もその例に漏れず、グループ全体に渡る体制、プロセスを構築し、ツールを導入し、教育を実施してきました。それぞれここで詳しく述べられれば良いのですが、図入りの詳細をMarkdownで書くのはちょっと大変なので、申し訳ないですが割愛します。詳しく知りたい方は、例えばOSAKA NDS Embedded Linux Cross Forum #9に添付された資料を見てください。この辺りの話はよくセミナーで話していますので、私から話を直接聞ける機会もあるのではと思います。
OpenChainとの関わり
上記の取り組みは「まずは自分がしっかりやろう」というものです。
でも、オリンパスだけが取り組んでも、この取り組みのきっかけとなった問題に対する解決策としては十分ではありません。オリンパスに対してソフトウェアを納入する側、すなわちサプライチェーンの各社にも対応してもらうことが必要です。
もちろん現段階でも何もやっていないわけではなくて、最低限の手当てとして、「オープンソースソフトウェアの利用の有無の確認書」(他社への質問票)というものを使ってサプライチェーンの各社に対してOSSを使っているか否かの確認を行うようにしています。また、それをプロセスに組み込んでもいます。
そして、 OpenChain へ
ただし、サプライチェーンの皆さんに納得して取り組んでもらわないことには、 サプライチェーンの各社にとっては「オープンソースソフトウェアの利用の有無の確認書」という単に面倒な書類が一枚増えるだけになってしまいます。
まずは「サプライチェーンの皆さんに納得してもらう」ためにどうすれば良いかと考えていた時に、ちょうど OpenChain の方に声をかけてもらいました。それがこのような活動を始めたきっかけです。( OpenChain のチェーンってサプライチェーンのチェーンですよね、多分。)
実は、、、
ここまで書いておいて何なのですが、上に書いたようにオリンパスは OpenChain の認証は取得していません。それどころか OpenChain のメンバーでもなく、さらに OpenChain の上部団体である Linux Foundation のメンバーですらありません。ですが、 OpenChain Japan Work Group のメンバーとして活動しています。
こんなオリンパスでも迎え入れてくれるほど、OpenChain Japan WG は懐が深いです。ぜひ、みなさんも OpenChain Japan WG に参加しましょう。Linux Foundation や OpenChain は国際的な団体なのでやり取りは主に英語ですが、OpenChain Japan WG なら日本語でやり取りできますよ!
明日は?
明日は富士通の青木さんが富士通社内での取り組みについて書いてくださいます。富士通さんはつい最近OpenChain 2.0の認証を取得しましたので、その辺りのことも詳しく書いてもらえるのではないかと思います。楽しみにしていてください。